高血圧
高血圧の成因として、塩分が最も重要ですが、最近では内臓脂肪の重要性が明らかとなってきました。また、高血圧の発症には腎臓が大きな役割を果たしています。加齢に伴って、腎臓が弱ってくると、血圧が上昇することが多いのです。
当院では、腎臓を保護する降圧薬を中心に腎不全や脳卒中、心肥大、心不全を予防できるように、降圧薬を選択し、患者様の健康な生活を守るべく治療して行きます。 降圧薬の中で、ARBというタイプのお薬では、糖尿病の予防効果が明らかになっています。このARBのなかでも、ある種のお薬では、大型内臓脂肪細胞を除去し、小型の脂肪を増やし、メタボリックシンドロームを改善する力の強いものもあります。また、腎血管性高血圧の場合、腎臓の大きさに左右差がみられ、片方の腎臓に萎縮などの異常が見つかる場合があります。 さらに、腎不全による高血圧では両方の腎臓に萎縮が見られます。
当院では、最新の超音波診断装置により、これらの腎臓の異常を正確に診断して治療に生かすことができます。腎臓超音波検査のコスト(概算)(診察料別)は3割負担の方で\1,590となります。
高血圧の診断は、診察室での血圧測定で行いますが、医師との面談によって、血圧の上昇が強い患者様がおられます。そこで、当院では24時間自由行動下血圧計を購入して、白衣高血圧と真の高血圧との正確な鑑別診断に努めております。
脂質異常症
カロリーの摂取過剰が大きな原因です。高コレステロール血症、高中性脂肪血症に2大別できます。食事・運動療法に加えて、コレステロールの中でも悪玉といわれるLDLコレステロールを、スタチン系のお薬で低下させることで、脳卒中、心筋梗塞が大きく減少し、生命予後が改善することが明らかとなっています。また、慢性腎臓病の進行を遅らせる可能性も有ります。
当院では脂質異常症を積極的に治療して行きます。高中性脂肪血症や低善玉コレステロールはフィブラート系のお薬で治療してゆきます。食事療法では、全体のカロリー摂取を適当に制限するとともに、脂質の割合を25%程度にとどめること。飽和脂肪酸(お肉の脂身)を控えること(総カロリーの7%程度に)、多価不飽和脂肪酸を総カロリーの10%程度、1価不飽和脂肪酸を総カロリーの10%程度におさえること、コレステロールを1日200~300mg以下にすることが基本です。
脂肪のなかでも魚介類に含まれるα-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサへキサエン酸(DHA)には心臓病や脳梗塞を予防する効果のあることがグリーンランドのイヌイットの研究で明らかにされています。イヌイットはデンマーク人の2倍もコレステロールを摂っているのにも関わらず、心臓病や脳梗塞は大変少ないのです。当院ではこのエイコサペンタエン酸の処方が可能です。
心肥大・心不全・不整脈
高血圧や糖尿病、慢性腎臓病では、心臓への負荷が増大し、容易に心肥大や心不全を生じてきます。心肥大は脳卒中や心筋梗塞の危険因子であることが明らかとなっています。
また、加齢・腎臓病・脂質異常症に伴い、心臓の弁膜に石灰化が生じ、弁が狭窄して弁狭窄症を発症し、完全に閉じない弁閉鎖不全症となることもあります。また、心臓の筋肉の動きや、厚さや、心筋で反射した超音波の性状から、心肥大の程度や虚血性心疾患の診断が可能です。
当院では、最新の超音波診断装置により、これらの心臓の異常を正確に診断して治療に生かすことができます。心臓超音波検査のコスト(概算)(診察料は別)は3割負担の方で\2,640となります。高血圧による心肥大・心不全にはARBという特に降圧薬が特に有効であることが明らかになっており、当院で処方可能です。
不整脈、なかでも心房細動は心臓内に血栓を形成し、脳血栓症をきたす恐ろしい病気です。当院では、24時間ホルター心電図を用いて的確に診断し、抗血栓薬を投与することが可能です。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームとは蓄積した内臓脂肪から、アディポサイトカインという種々のホルモンが分泌され、インスリンの働きを阻害し、血圧が上昇し、動脈硬化を促進したりします。
結果として、糖尿病を始めとする耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、慢性腎臓病を発症し、種々の心血管病の原因となります。当院では患者様の来院時に、体重、腹囲を測定し、内臓脂肪の蓄積や肥満度を評価して、患者様の治療に生かしております。
メタボリックシンドロームの治療の基本は、日々の正しい食生活と適度な運動により、内蔵脂肪を燃焼・消費してしまうことにあります。バランスのとれた栄養補給と運動療法についても、当院で指導してまいります。ご飯1/2杯(80kcal)を消費するには、約20分の歩行が必要となります。また腹囲を1cm減らすには約1kgの内臓脂肪=約7200kcalの消費が必要です。合併症としての、糖尿病、高血圧、脂質異常症、慢性腎臓病に対しても適切に治療してまいります。
動脈硬化症(脳卒中・心筋梗塞の原因)
高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病、そして、加齢により、最も障害を受けるのは動脈です。
全身の動脈硬化症は、自覚症状なく進行して行き、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞を発症することがあります。当院では、最新の超音波診断装置により、頸動脈や腹部大動脈の動脈硬化症を的確に診断し、治療に生かすことができます。
頸動脈超音波検査のコスト(診察料別)は、3割負担の方で(概算)\1,590、腹部大動脈検査では(概算)\1,590となります。動脈硬化症に対しては、健康的な食事療法を基本として、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病の治療に加えて、血液をサラサラにするお薬で血管内に血の固まりができて、血管を閉塞しないようにして行く治療も可能です。
ニコチン依存症
ニコチン依存を生じ、ニコチン依存を満たすためにタバコの葉を用いることは米国原住民からコロンブスに伝えられ、ヨーロッパに急速に広まりました。タバコの葉には、歯周病や口腔がんを引き起こしうるニコチン、発がん物質、その他の有毒物質が含まれます。また、タバコの葉を燃焼させて生じるタバコ煙にはニコチンに加え、一酸化炭素をはじめとする4000種類以上の物質が含まれます。
タバコ煙の毒性や発がん性の大部分は、多数の有毒物質と40種類以上の発がん物質を含む、気体となった粒子層に属します。喫煙の結果、すべての原因による死亡が約2倍程度増加します。その他以下のような疾患の危険が増大します。
- 循環器疾患
- 大血管や小血管の動脈硬化に罹患しやすくなり、大動脈瘤のおよそ50%は喫煙によると考えられています。紙巻タバコの喫煙は、動脈硬化のみならず血小板凝集能と血管閉塞を促進して、心筋梗塞や突然死の可能性を増加させます。
- がん
- 紙巻タバコの喫煙は、肺、喉頭、口腔、食道、膵臓、腎臓、膀胱におけるがん発生の原因です。がん発生のリスクは、1日喫煙本数が多いほど、また喫煙年数が長いほど増大します。また、口腔がん、食道がん、そしておそらく肺がんにおいては喫煙にアルコールを併用するとリスクが相乗的に増大します。
- 呼吸器疾患
- 慢性閉塞性肺疾患の90%以上は紙巻タバコの喫煙によります。20年以上にわたり喫煙を続けると、喫煙の程度と期間に比例して肺の病理学的変化が生じ進展します。太い気道での慢性的な粘膜の過形成によって、60歳以上の喫煙者のうち80%が湿性咳を生じるようになります。
細気管支の慢性炎症と狭窄、肺胞壁の酵素による消化のどちらか一方あるいは両方によって引き起こされた肺気腫は呼気流量の減少を招き、およそ15%の喫煙者において呼吸困難の臨床症状を生じさせます。
治療法
当院では呼気中の一酸化炭素を測定し、禁煙補助薬を保険で処方することが可能です。約8~12週間の禁煙補助薬の使用により、禁煙成功率は2~3倍に高まります。ニコチン依存症治療に要するコスト(概算)は、診察料と薬剤料、診察料を合わせて、ニコチンパッチの場合¥12,003、バレニクリン(内服薬)の場合¥18,432となります。
骨粗鬆症
骨粗鬆症とは骨量(骨密度)の低下、または脆弱性骨折のある病態と定義されます。主要な臨床徴候は脊椎椎体骨折と大腿骨頚部骨折です。
一度、このような骨折を発症すると、日常生活に大きな不自由が生じます。女性では閉経後急速に骨量は減少し、男性でも加齢によって低下します。また過度の飲酒や喫煙、運動不足も危険因子です。
脊椎椎体骨折は比較的無症候ですが、身長の5~10cmの低下、脊柱の後湾、背部痛の原因になります。当院では腰椎椎体レントゲン検査により、腰椎椎体の圧迫骨折や後湾の有無や程度を診断することが可能です。尿中のNTx検査で骨の弱くなる程度を判定可能です。骨の弱くなった方には、ビタミンD製剤やカルシウム製剤、その他、骨を強くするお薬が処方可能です。
肝臓機能障害
当院は総合内科・腎臓内科ですが、簡単な肝機能検査の結果は受診日に30-40分くらいで判明します。また、腹部超音波検査が可能ですので、進行した肝臓疾患、肝硬変も診断することができます。腹部超音波検査のコスト(概算)(診察料別)は3割負担の方で\1,650となります。
薬物で治療可能な肝臓疾患にはB型肝炎ウイルスによるB型肝炎、C型肝炎ウイルスによるC型肝炎があります。これらのB型肝炎、C型肝炎の有無については採血後、2~3日で判明します。このような肝炎の場合には、肝臓専門医が常勤している近隣の肝臓内科のある病院[明舞中央病院・西神戸医療センター・神戸掖済会病院・中央市民病院など]と病診連携により加療させて頂きます。
B型肝炎・C型肝炎は急性にも慢性にも発症し、全身倦怠感、食欲不振、褐色尿、黄疸などが生じることがあります。またA型ウイルスによるA型肝炎は慢性化しませんが、急性肝炎として発症し、重症化することがあります。上記のような肝臓の症状が出た場合には、早めの受診をおすすめ致します。
肝臓病はこれら以外に、アルコールの飲み過ぎにともなうアルコール性脂肪肝・肝炎・肝硬変があります。男性で1日30-40g/日以上、女性で20g/日以上のアルコールを毎日10年以上続けていると発症することがあります。ビールなら350mlの缶ビール2本以上は危険かもしれません。ワインなら1/3~1/2本(ビールの半量);200-400ml、焼酎・日本酒では100-200ml/日に相当します。その他、少ないですが自己免疫性肝臓病、遺伝性のものもあります。
胆石症・膵炎
胆石症の症状は脂肪食後の右の季肋部痛が典型的です。特に40歳過ぎの肥満傾向の人に多いようです。
膵炎については左季肋部痛が多くやはり脂肪食で増悪します。血液検査で迅速に診断することができます。絶食で来院されれば腹部超音波装置により胆石を的確に診断することが可能です。
腹部超音波検査のコスト(概算)(診察料別)は3割負担の方で\1,650となります。胆石症や膵炎に対して、食事・栄養指導に加えて、内服薬や点滴加療が可能です。
内分泌疾患
血中ホルモンレベルの測定や超音波検査により下記の疾患の診断が可能です。
- 脳下垂体疾患
- 脳下垂体機能低下症、末端巨大症、視床下部・脳下垂体性甲状腺機能低下症、尿崩症などの診断が可能です。
- 副腎疾患
- 副腎不全、副腎性高血圧症(褐色細胞腫、原発性アルドステロン症、クッシング症候群)などの診断が可能です
- 甲状腺疾患
- 甲状腺機能亢進症(バセドー病)、甲状腺機能低下症(橋本病)、甲状腺良性腫瘍・甲状腺癌などの診断が可能です。
アルツハイマー型認知症
簡易痴呆判定スケールにより、認知症を、正常(normal)、軽度低下(subnormal)、前認知症(predementia)、認知症(dementia)と診断致します。認知症の進行を遅らせる薬物療法としては、現在donepezilのみが投薬可能です。妄想、徘徊、不眠、暴力などの認知症に伴う精神症状や行動障害に対しては、対症的な対応(内服薬投与可能)となります。高度な症候を示す場合は専門的な施設への入所が必要となります。
東洋医学的診療
神戸大学漢方セミナーなどに積極的に数年来参加して、研鑽を深めてきました。西洋医学ではできないきめ細かな対応も可能です。睡眠障害やストレスによるメンタルのケア、腰痛や関節痛・筋肉痛、更年期障害、月経痛、片頭痛、下痢・便秘、腹痛、老化予防、アンチエージング、帯状疱疹、蕁麻疹、風邪、インフルエンザも漢方治療が可能です。また、腎不全の進行を遅らせる可能性も、漢方治療には報告されています。
癌の早期発見
院長は大阪大学大学院で癌研究に携わった経験から、癌の早期発見、早期治療を重要視しております。胸部X線による肺がん検診、検便潜血による大腸がん検診、血液検査による前立癌診断、頸部エコーによる甲状腺がんの発見、腹部超音波検査による腎・尿管・膀胱・前立腺がん診断にも積極的に取り組んで、成果を上げています。