9月17日(土)医療講演会に参加

リンパ浮腫の治療とケア
リンパ浮腫保存的治療「複合的理学療法」の実際
講師 後藤学園附属リンパ浮腫研究所
   所長 佐藤 佳代子 先生

講演抄録

 リンパ浮腫は、がん治療に伴うリンパ節切除術や放射線療法の後遺症のひとつであり、重症化すると患者の日常生活に支障をきたすことがある。
「複合的理学療法」は、代表的なリンパ浮腫の保存的治療であり、治療の主軸となる「スキンケア・医療用リンパドレナージ・弾性包帯/弾性着衣による圧迫療法・排液効果を促す運動療法(圧迫下)」を個人に状態に応じ実施する。
 治療開始の際には必ず医師の診察を受け、既往歴、現病歴、適応禁忌などを確認する。浮腫症状や皮膚状態の改善はADL・QOL向上につながり、精神的な痛みを緩和する。症状は障害に渡るため、良好な状態を維持できるよう無理のない範囲にて、個別に応じたセルフケアを指導することも重要である。
[適応]原発性リンパ浮腫、続発性リンパ浮腫、慢性静脈疾患、廃用性浮腫、一過性浮腫など。
[禁忌]皮下組織の急性炎症、心性浮腫、下肢静脈の急性疾患(深部静脈血栓症、静脈炎など)、悪性疾患(相対的)など。

IgA腎症について

IgA腎症とは・・・日本腎臓学会雑誌より抜粋・・・一部改変
厚生労働省 進行性腎障害に関する研究:IgA腎症分科会

IgA腎症は、無症候性に慢性腎炎症候群として発症するが、ときに急性腎炎症候群、あるいは稀にネフローゼ症候群の病状を示す。
したがって、腎生検された時期での臨床病理学的病期はさまざまである。IgA腎症は腎生検により確定診断がなされるが、さらに、積極的治療の対象となる急性病変と予後を決定する慢性病変に関して、それらを総合的かつ定量的に評価することが治療方針の選択に大いに参考となる。そのため、これらの病変の多様性を病理組織学的見地から整理したのが組織分類である。

IgA腎症の病理総論
1. 光顕像
腎疾患の病理組織分類は、1995年に改訂されたRenal disease: Classification and Atlas of Glomerular Disease (WHO)を基本にしている。糸球体は、メサンギウム細胞とそれを取り巻くメサンギウム基質によって糸球体毛細血管係蹄が束ねられている。係蹄内側には内皮細胞が存在し、抗凝固作用や炎症細胞の浸潤に関与している。糸球体毛細血管係蹄の尿腔側には足細胞が位置し、さらにその外側にボウマン嚢上皮とその基底膜によってボウマン嚢腔が形成されている(図1)。IgA腎症では、上記のそれぞれの構成細胞が特有の動態を示し、その結果としてメサンギウム病変、管内性病変、そして管外性病変が形成され、それらが組み合わされて多様な糸球体病変が観察される。
IgA腎症の病変はこのように多彩であるが、共通する病変として、傍メサンギウム領域にPAS染色陽性、PAM染色にて確認できる沈着物が特徴的であり、しばしば半球状沈着(hemispherical deposit)を呈する(図2a, b)。IgAがメサンギウム領域に沈着し、補体の活性化を伴いメサンギウム細胞増多(mesangial hypercellularity)を引き起こす。加えて、急性病変として、管内性細胞増多(endocapillary hypercellularity)(糸球体毛細血管係蹄内への細胞浸潤)や、糸球体毛細血管係蹄壁の壊死(tuft necrosis)、そして、活動性管外性病変(extracapillary lesion)(細胞性半月体、線維細胞性半月体)などが種々の程度に出現する。これらの病変が進行するとchronicity(慢性化)が増し、糸球体ではメサンギウム基質の増加、癒着、線維性半月体や分節性硬化を経由して、最終的に全節性硬化(球状硬化)に進展する。そして、硬化糸球体に付属する尿細管も委縮し、腎臓内のネフロンの減少・荒廃と間質の線維化が進行する。臨床的には腎機能低下をきたし、末期腎不全へと進行する。
以上のように、IgA腎症の組織像は急性病変から慢性病変と多彩で、しばしばそれらが混在しており、形成される糸球体病変はWHO分類の一次性糸球体疾患で観察される糸球体病変のほとんどすべてを網羅しているといえる。
2. 免疫染色所見
IgA腎症は、免疫染色により、糸球体のメサンギウム領域にigA優勢のびまんせい沈着を認める糸球体腎炎と定義される(図3)。通常、C3とIgMがIgA沈着より劣性に共存して沈着する。IgGの沈着は約20-30%程度にみられる。C1qの沈着はきわめて稀である。
3. 電顕所見
電顕像においてメサンギウム領域に電子密度の高い沈着物(electron dense deposit)が確認されIgA腎症の診断根拠となる(図4)。少量の沈着物は傍メサンギウム領域にみられることが多い。また、係蹄上皮下に不規則に上皮下沈着物を認める場合や、内皮下沈着物がみられメサンギウム領域細胞間入(mesangial interposition)を伴うこともある(図5矢印)。
糸球体毛細血管基底膜はしばしば分節性にひはく化する(図6矢印)。しかし、多くの症例では、び慢性全節性に基底膜がひはく化するひはく基底膜病とは鑑別が可能である。

IgA腎症の病変の定義
2009年に国際IgA腎症臨床組織分類(いわゆるオックスフォード分類)として国際的なコンセンサスのもとに、上述の多彩な病変に対して詳細な定義がなされた。わが国の組織学的重症度分類でも、オックスフォード分類との整合性をとり、病変の定義は原則的にオックスフォード分類のものを用いている。以下、それらについて補足を加えながら図譜をもって説明する。
1. 糸球体
1. 糸球体病変の拡がりの定義
病変の拡がりに関して、WHO分類は、び慢性(diffuse)を80%以上、巣状(focal)を80%未満と定義しているが、オックスフォード分類では以下のように定義されている(図7)。
び慢性(diffuse):病変を有する糸球体が採取糸球体の50%以上の場合。
 巣状(focal):病変を有する糸球体が採取糸球体の50%未満の場合。
 全節性または球状(global):病変が糸球体の50%以上に及ぶ場合。
 分節性(segmental):病変が糸球体の50%未満の場合。
2. 糸球体における病変の定義
A. メサンギウム細胞増多(mesangial hypercellularity)
その程度に応じて以下のように分類される(国際分類ではPAS染色で3μmの切片で評価している)。
メサンギウム細胞増多がなく正常(normal)は、一つのメサンギウム領域でのメサンギウム細胞が3個以下と定義される(図8a)。
メサンギウム細胞増多の程度は、最も細胞の数の多いメサンギウム領域の細胞の数によって以下のように分類される。
軽度(mild):1つのメサンギウム領域に4-5個のメサンギウム細胞が見られる(図8b)。
中等度(mild):1つのメサンギウム領域に6-7個のメサンギウム細胞が見られる(図8c)。
高度(severe):1つのメサンギウム領域に8個以上のメサンギウム細胞が見られる(図8d)。
註)最も細胞の多いメサンギウム領域で評価する。血管極に隣接するメサンギウム領域では評価しない。
B. メサンギウム基質増加(increased mesangial matrix )
メサンギウム細胞外基質の増加で、少なくとも2つのメサンギウム領域において、基質の幅がメサンギウム細胞核2個分を超えるものと定義される(図9a:PAS染色、図9b:PAM染色)。
C.管内性細胞増多(endocapillary hypercellularity)
糸球体毛細血管係蹄の管腔内の細胞数が増加し、管腔の狭小化をもたらす病変である。主としてマクロファージ浸潤によるものであるが、好中球浸潤がみられることがある。内皮細胞の増殖や腫大も関与している(図10a:PAS染色、図10b,c:PAM染色)。オックスフォード分類では管内領域での細胞数の増加を重視しているため、管内性細胞増多の名称を用いている。細胞増殖は本来、固有細胞が増加する意味で使用する用語である。すなわち、糸球体毛細血管係蹄内の細胞である内皮細胞の増殖に炎症細胞の浸潤が含まれて、これらの細胞を明確に判定できないことから、オックスフォード分類では管内性細胞増多と表現している。
D.係蹄壊死(tuft necrosis)
糸球体毛細血管基底膜の断裂で、フィブリンの析出や核崩壊を伴う。これらの所見のうち2つ以上を認める場合をいう。壊死性病変は最低でもボウマン嚢内にフィブリンの析出を認める場合をさす(図11:PAM染色)。
E. 管外病変(extracapillary lesions)
以下のように分類される。
1) 管外性細胞増殖または細胞性半月体(extracapillary cellular proliferation or cellular cresent):3層以上の菅外性細胞増殖を半月体と定義し、細胞成分が50%以上ある場合をいう(図12a:PAM染色、図12b:PAS染色)。病変が糸球体円周に占める%により<10%, 10-25%, 26-50%, >50%に分けられる。この病変はしばしばボウマン嚢の破壊を伴う。
2) 管外性線維細胞増殖または線維細胞性半月体(extracapillary fibrocellular proliferation or fibrocellular crescent):細胞が50%未満で細胞外基質が90%未満の場合(図13a:PAS染色、図13b:PAM染色)。病変が糸球体円周に占める%により<10%, 10-25%, 26-50%, >50%に分けられる。この病変はしばしばボウマン嚢の破壊を伴う。
3) 管外性線維増殖または線維性半月体(extracapillary fibrosis proliferation or fibrous crescent):糸球体円周の10%以上を占める管外性線維性病変で、細胞外基質が90%以上の場合(図14a:PAS染色、図14b:PAM染色)。病変が糸球体円周に占める%により10-25%, 26-50%, >50%に分けられる。虚血によるボウマン嚢腔内線維化とは区別される。
F. 硬化(sclerosis)
細胞外基質の増加により毛細血管血管腔が閉塞した病変を指す。硝子化の有無は問わない。
○1 分節性硬化(segmental sclerosis)(図15a,b:PAM染色)
○2 全節性(球状)硬化(global sclerosis)(図16:PAM染色):硬化が糸球体全体に及ぶ場合。
G.癒着(adhesion)
 糸球体毛細血管係蹄とボウマン嚢の連続した病変を指す(単に接着した病変でない)(図17a,b:PAM染色)。管外性病変から区別される。癒着部には分節性硬化病変を伴うことがある。
H.虚脱(collapse)
虚血性糸球体(ischemic glomerulus)ともいい、糸球体毛細血管係蹄が虚脱している所見で、ボウマン嚢が肥厚し、ボウマン嚢腔内線維化を伴うことがある。糸球体全体が縮小する(図18:PAS染色)。
I.その他の糸球体病変
1) メサンギウム融解(mesangiolysis)(図19a:PAM染色):メサンギウム融解は、オックスフォード分類では定義されていないが、IgA腎症の糸球体所見として認められることがあるため病変の解説を行う。メサンギウム融解は、メサンギウム基質の浮腫により基質の網目構造が崩壊し拡大する病変である。一方、本来の毛細血管係蹄の内腔は狭小化する。毛細血管係蹄内皮細胞障害により糸球体基底膜と内皮が開大して、内皮下腔からメサンギウム領域に血漿成分が侵入して起こる場合が多い。
2) 糸球体基底膜二重化(GBM duplication):(図19a:PAM染色、図19b:PAM染色):
糸球体基底膜が二重化(double contour)を呈する病変。内皮障害のために内皮下腔が浮腫性に拡大する症例。メサンギウム間入を伴う症例、そして管内性細胞増多が目立つ症例に糸球体基底膜の二重化が見られることが多い。
II.尿細管間質病変
1. 尿細管委縮(tubular atrophy):(図20:PAS染色)
尿細管基底膜が不規則に肥厚し、尿細管の直径が減少する病変。腎皮質における病変の面積により、1-5%の場合は5%、それ以上は10%単位でスコア化する。
2. 間質線維化(interstitial fibrosis):(図20:PAS染色)
間質における細胞外基質の増加を指す。腎皮質における病変の面積により、1-5%の場合は5%、それ以上は10%単位でスコア化する。稀に、尿細管上皮の委縮がなく、間質の浮腫により間質領域が拡大し、その後に線維化が進展することがある。Masson染色にて拡大した間質が単なる浮腫性病変か、線維化を伴っているかが区別される。
3. 間質内炎症細胞浸潤(interstitial inflammation):(図20:PAS染色)
皮質の間質の炎症細胞浸潤を指す。IgA腎症はリンパ球浸潤が主体である。腎皮質における病変の面積により、1-5%の場合は5%、それ以上は10%単位でスコア化する。炎症細胞浸潤が線維化の領域に限局している反応性の炎症細胞浸潤か否かを記載する。
4. 付加的尿細管病変
20%以上の尿細管腔が赤血球によって完全に充満されている場合は付記する(図21:PAM染色)。
5. 急性尿細管障害(acute tubular injury)
 近位尿細管が基底膜の肥厚を伴うことなしに単純化(尿細管上皮細胞の扁平化や刷子縁の脱落など)を示す病変を指す。
III. 血管病変
1. 動脈病変(arterial lesion)
弓状動脈や小葉間動脈の内膜肥厚性動脈硬化病変と、細小動脈内膜の硝子様細動脈病変について観察を行う。オックスフォード分類も、わが国の組織学的重症度分類も、スコア化には最も病変の顕著な動脈を用いて行う。小葉間動脈と弓状動脈については別々にスコア化する。小葉間動脈は腎皮質内にあり、弓状動脈は皮髄境界部に位置する。内膜肥厚は内膜(i)と中膜(m)の厚さを比較することにより、正常、肥厚内膜が中膜厚より小さい場合(i/m<1)、肥厚内膜が中膜厚を超えている場合(i/m≧1)、の3段階にスコア化する(図22:Elastica-Masson Goldner染色)。
2. 細動脈硝子化(arteriolar hyaline)
硝子化病変を有する細動脈が、細動脈全体に占める割合により0%, 1-25%, 26-50%, >50%に分類する(図23:PAS染色)。
組織学的重症度分類
わが国の組織学的重症度分類では、糸球体の急性病変として細胞性半月体(係蹄壊死も含む)、線維細胞性半月体を、糸球体の慢性病変として全節性糸球体硬化、分節性糸球体硬化、線維性半月体を取り上げ、これらの5つの病変のいずれかをもつ糸球体が全糸球体数のうち何%を占めるか、という基準を用いて分類している(表)。なお、同じ糸球体に病変が重複してもその糸球体は1個とカウントする。
すなわち、透析導入と関連する上記の急性あるいは慢性の5つ病変のいずれかをもつ糸球体の全糸球体に対する割合を25%,50%,75%で区切り、組織学的重症度をH-Grade I(<25%)、H-GradeII(25≦ <50%)、H-GradeIII(50%≦ <75%)、H-GradeIV(75%≦)の4段階に分類している。さらに急性病変(aute lesion:A)と慢性病変(chronic lesion:C)についてはA,A/C,Cと付記する。なお、組織学的重症度分類の判定は、PASあるいはPAM染色切片にて行う。切片によって分類が異なる場合は、よりgradeの高い分類を優先して選択する。特に、急性病変が分類の対象とした切片に存在しない場合でも、別の切片にて確認されれば急性病変にカウントされる。
今回の分類では、尿細管間質病変と血管病変の位置づけが問題点として残される。特に間質線維化はIgA腎症限らず、各種腎疾患において腎予後と密接に関連することが広く知られていることから、組織学的重症度を判定する際に考慮すべき所見と考えられる。一方、組織学的重症度分類に関する多施設共同後ろ向き研究においては、オックスフォード分類と同様に、間質線維化は全節性糸球体硬化ときわめて高い相関を示した。したがって、大半の症例では間質性線維化は全節性糸球体硬化の頻度に置き換えて評価することが可能と考えられるため、今回、組織学的重症度判定のための病理学的指標としては採用されなかった。組織学的重症度の判定にあたっては、標本中の糸球体数は10個以上であることが望ましいが、糸球体が数個しか含まれていない場合は、間質線維化の程度を考慮して、重症度の参考にすることも可能である。なお、オックスフォード分類を構成する腎予後予測因子として選択されたメサンギウム細胞増多、管内性細胞増多が今回の組織学的重症度分類に入っていない点、また、わが国の組織分類で主要病変となっている半月体がオックスフォード分類に採用されていない点などは、今後の課題である。IgA腎症診療指針第3版では、この組織学的重症度分類に臨床的重症度分類を加味して透析導入リスクの層別化を行い、それに応じた治療方針を提唱している。

おわりに
オックスフォード分類とわが国の組織学的重症度分類は、国際的に統一された組織分類になることが期待されている。
  

休診のお知らせ

10月の休診日のお知らせです。大変ご迷惑をおかけしますが、休診日をよくご確認の上、ご来院下さい。あらかじめ、受診予約をおとり下さいますと待ち時間が短縮されます。

10月1日(土)、10月14日(金)PM、10月15日(土)、10月17日(月)PM、10月31日(月)
AM,PM。

何卒、よろしくお願い申し上げます。

佐々木内科医院
院長 佐々木徹

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院長
神戸市垂水区の佐々木内科医院では「あなたの腎臓を守りたい。地域のホームドクターへ」をモットーに腎臓専門医として地域のみな様の健康を守りたいと考えています。

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